
1. 「絵本=語彙力」というプレッシャー
「子どもの語彙力を増やすには、赤ちゃんの頃からの絵本が効果的」 育児本やネットでよく目にする言葉ですよね。
幼稚園教諭として、また保育士として多くの子どもたちと関わってきた私も、「よし!息子にも絵本の時間を楽しんでもらおう」と、彼が0歳の頃(おすわり時期)に意気込んで読み聞かせを始めました。
でも、現実は理想とはほど遠いものでした……。
2. 「こんなはずじゃなかった」読み聞かせの理想と現実
いざ絵本を開いてみると、息子は
- お話なんて全く聞かない
- すぐにバタン!と閉じてしまう(「おしまい」にするのが楽しくなっちゃう)
- 最後には、ページを破って食べてしまうなんてことも
「せっかく買ったのに」「全然うまくいかない……」 専門職としての知識があるからこそ、逆に「読み聞かせができない自分」に悶々としてしまい、一旦、絵本とは距離を置くことにしたんです。
3. 外の世界は、最高の「動く絵本」だった
家の中で絵本と格闘するのをやめた私が始めたのは、ベビーカーに乗せた息子への「実況中継」でした。
近所を散歩しながら、目に映るものすべてを言葉にしていきます。 「あ、ちっちゃいアリさんが歩いてるね」 「黄色いお花、きれいに咲いたね」 「ガガガって、大きなショベルカーが頑張ってるよ!」 「ふわふわの雲、おいしそうだね」
家の中で静かに絵本をめくるよりも、外の世界を一緒に見ること。 私たち親子にとっては、街の風景そのものが「素敵な動く絵本」になっていきました。
4. 「ママの声」が何よりの栄養
その後、息子はどうなったかというと……
- 1歳半健診: 50個以上の単語を話す
- 2歳: 3語文(「ママ、パン、食べる」など)を喋る
驚くほど言葉が溢れ出しました。あんなに絵本を拒否していたのが嘘のように、この頃からやっと本が好きになり、連日の読み聞かせが始まりました。
中学生になった今は小説を読むのが大好きな子に成長しています。
絵本は確かに素晴らしいツールです。でも、何よりも大切なのは「お母さんとのコミュニケーション」そのもの。 絵本という形にこだわらなくても、ママの温かい声で「あ、見て!」「おもしろいね」と語りかけることが、お子さんの興味や成長の種になります。
5. 立ち止まっているママたちへ
今、もし「絵本を読んであげられない」「子どもが興味を持ってくれない」と悩んでいるママがいたら、伝えたいことがあります。
「絵本が読めなくても、大丈夫です」
無理をして家で向き合うよりも、一緒にお散歩して、ママが感じたことをそのまま言葉にしてみてください。 その一言一言が、お子さんの心の中に、豊かな言葉の貯金として溜まっていきますよ。
親子カフェでも、「うちの子、絵本を破っちゃって……」なんてお悩みがあれば、いつでも気軽に声をかけてくださいね。一緒に「その子なりの楽しみ方」を見つけていきましょう。
あり先生
