YouTubeじゃ分からない。動物園デビューで「五感」をフル回転させよう

「ゾウさんだね!」
「パンダ、かわいいね〜!」

今はスマホやテレビで、世界中の動物が見られる時代。
映像もきれいで、鳴き声も聞ける。

でも——

保育の現場でたくさんの子どもたちを見てきて思うのは、
“知っている”と“体でわかる”は、まったく別ものだということです。


画面と本物はなにが違う?

乳幼児の発達研究では、
小さな子どもは「画面の中の情報」と「現実世界」を結びつけるのが難しいことがわかっています。

これをビデオ・デフィシット(ビデオ欠損)現象と言うそうです。

テレビの中では、
ゾウも、キリンも、イヌも、
同じサイズ画面に映ります

でも本物のゾウを前にすると、

「え……大きい」
「見上げないと顔が見えない」

その“身体感覚”が、一気に脳に入ってくる。

風のにおい。
地面の感触。
突然ひびく鳴き声。

これは、平面の映像では再現できません。


「1歳までに動物園に行くといい」は本当?

よく聞きますよね。

「小さいうちに動物園に行くと免疫がつく」

これは完全な迷信とは言えないそうです。

乳幼児期に多様な微生物に触れることが、
アレルギーの発症リスクを下げる可能性がある、
という考え方があります(いわゆる“衛生仮説”)。

たしかに、外の空気や土、動物のいる環境に触れることは、
子どもの体にとってプラスになる面があります。

でも——

だからといって、
「1歳までに1回行けばOK」
ということではありません。

免疫は“イベント”でつくものではなく、
日常の中で少しずつ育っていくもの。

それよりも大切なのは、

何度も本物に触れること。

最初は怖くて泣いていた子が、
次はじっと見つめ、
その次は指をさす。

同じ動物園でも、
行くたびに感じ方が変わります。

免疫のため、というよりも——
体験を重ねることで、感覚が育っていく。

それが本当の意味での「行く価値」だと思っています。


年パスが最強だった話

わが家は、子どもが小さい頃、
動物園の年間パスポートを持っていました。

月に数回、年に何度も行きました。

すると、面白いことが起こります。

・前回は泣いていたのに、今日は指をさしている
・夏は動物がよく動く
・冬は寝ている時間が長い
・雨の日はにおいが強い

同じ場所でも、時間や季節、天気によって毎回ちがう。

そして何より、
子どもの“感じ方”が変わっていく。

これが、体験のすごさです。


覚えていなくても、意味はある

「どうせ覚えてないし」

そう思うこともあるかもしれません。

でも、記憶に残らなくても、
感覚は積み重なっています。

抱っこで見た景色。
ベビーカー越しの風。
ちょっと怖かった鳴き声。

それ全部が、脳への刺激。


動物園だけじゃない

森もいい。
川遊びも最高。
キャンプは特別な体験。

でも動物園は、

・比較的安全
・季節に左右されにくい
・手頃な価格

という、始めやすさがあります。

「ちょっと行ってみようか」

それで十分。


画面では育ちきらないものがある

便利な時代です。
動画も悪いものではありません。

でも、

くさいね。
大きいね。
びっくりしたね。

そう言い合える時間は、本物だけがくれます。

体を動かして、
五感をフル回転させる。

動物園デビュー、
“覚えていなくても意味がある体験”
として、ぜひおすすめします。

あり先生